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営業、エンジニア、その次

2025年9月2日 • 9 min read • 4,012 words
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受託開発の会社からSaaSスタートアップに転職したふうが🍫さんのお話

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  • 転職活動を終えて
  • 営業からソフトウェアへ
  • 見積もりがずっと大変
  • 新しい働き方を求めて
  • これから

この記事は、2025年夏に行われたインタビューを書き起こしたものです。ふうがさんは受託中心に大規模案件を担う大手開発会社に勤めるソフトウェアエンジニアです。半年ほどの転職活動を経て、営業DXを進めるSaaSスタートアップに転職が決まりました。GAFAがえるさんはふうがさんの職務経歴書の作成や面接準備のお手伝いをしました。お話を聞いたのは、転職活動終了後、入社が数ヶ月後に控えている時期です。

転職活動を終えて  

いやあ、ようやく終わりました。まあすんなりとは…行かなかったですね(笑)。でも無事満足できる形で次が決まったのですから、結果は100点です。

転職先は、営業業務を支援するSaaSをつくっているスタートアップの会社です。僕も営業時代に違う会社の似たようなサービスを使ったことがあります。営業って、もちろん会社によるんでしょうけど、一日の終わりに上長にその日何をやっていたか報告するっていうことをよくやるんですよね。基本外回りでどこで何をしているかわからない仕事ですし、あとは売ってる製品によっては、急にたくさん工場で作れるものではなかったりするので、お客さんとどんな話が進んでいるかっていうのは大事な情報だったりします。その報告プロセスを簡単にするために、時間とか位置情報を元にその報告のベースを作ってくれたりっていう機能がありました。他には、最近訪問してない営業先を教えてくれるとかもありますね。

でも僕が前に使っていた製品は、正直めちゃくちゃ使いづらかったです(笑)。そんな思いもあって、次の職場では、元営業職としての経験を活かして、営業に本当に役立つ製品づくりに関わっていきたいと思っています。

営業からソフトウェアへ  

僕のキャリアは、チョコレートメーカーの営業から始まりました。担当したのは商社や洋菓子店。年間で十数回は出張に出て、展示会やプレゼンに立ち、OEM受託の顧客折衝にも取り組んでいました。OEMっていうのは、お客さんのブランドで販売するオリジナル商品をメーカー側が製造する仕組みのことです。依頼を受けると、開発から納品までのスケジュールを管理し、仕様書をつくり、最終的に納品に至るまでの調整を担いました。新規開拓も担当し、それまでアプローチしていなかった外食業界への売り込みに取り組みました。

やりがいがありましたし、成果も出せていたんですけど、一方で、営業の現場では「顧客の要望があっても、自分にはつくれない」というもどかしさも抱えていました。そうした中で、「いっそ自分でつくりたい」という気持ちが芽生えたのです。もともとパソコンに触れるのは好きだったので、業務の傍ら独学でプログラミングを学び始めました。

まずMacBookを買いました。あの、当時まだIntel Coreの。それから「どう始めたもんかなー」と思ってスクールを下見して、でも説明を受けただけで結局行きませんでした。プログラミングって面白いんだなあと思えたり、内容は悪くなかったのですが、教室が家から遠かったので。結局Progateやドットインストールの動画教材で基本を学びました。まずはHTMLとCSS、その次にJavaScriptをやってフロントエンドの基礎的な部分を押さえてから、PHPを使ったサーバーサイドに自分で手を出してみたって感じです。最終的にはPHP(Laravel)で掲示板を作ったり、LINE APIを使ってbotを開発したり。小さな試みを積み重ねながら、ソフトウェア開発の世界に入っていきました。営業の仕事と並行して、期間にして半年から一年くらいですね。

そうこうしているうちに、「これ、仕事としてもできるかもしれない」と思うようになり、エンジニア転職を決意しました。未経験だったので一応ポートフォリオを作りましたが、正直あまり面接では見られていない印象でした。それでも、サーバーを立ててドメインを取得し、インターネット上に公開するところまでやっていたので、理解しきれていない部分はあっても「こういう苦労をした」と話せたことは効果があったと思います。

そうして入社したのが現職の受託開発の会社です。営業で培った顧客対応力や説明力は、エンジニアになってからも役に立っています。

見積もりがずっと大変  

現職は、いやー、大変です。ずっと大変です。基本的にずっと同じ問題があって、それは見積もりです。エンジニアが最初に出した見積もりの精度が低いのか、あるいはエンジニアとPMのコミュニケーション不足なのか、いろんな理由が考えられますけど、でもとにかく見積もりがうまくいかないです。難しいです。今関わっているプロジェクトに限って言えば、体感では倍は必要でした。

入社して間もない頃にアサインされたのは、大規模な求人システムのリプレイス案件でした。使われている言語やフレームワークを新しいものに置き換えるというプロジェクトで、今でも続いています。アップグレードの適用に合わせてお客さんも関係者と調整しないといけないので、見積もりは避けられないんですよね。たくさんのマイルストーンがあって、どうしても間に合わない時には「リプラン(replan - 再計画)」といって、PMが直接お客さんに頭を下げて、納期延長や追加料金をお願いしに行きます。

このあたりの調整や見積もりは本当に難しいです。もうAIにやってほしいです(笑)。新規開発だとまだ違うかもしれないですけど、リプレイスやアップグレード系の案件だと、特にコードの行数や複雑さといった機械的な指標に頼れる部分がある気がします。

とはいえ、メンバーには恵まれていました。一緒に働いた人はみんないい人で、大学の研究室のような雰囲気。納期に追われて辛いときでも、仕事中に雑談を交わしながら笑って過ごせたのは大きな救いでした。技術的な話もあれば、全然関係ない話もあって。

そして、そんな厳しい環境だからこそ身についたこともあります。まず、胆力は確実に鍛えられました。加えて「絶対に間に合わせる」という気持ちは持ちつつも、無理なものは無理ときちんと言えるようになりました。これはチーム開発において大事なことだと思うんですよね。

新しい働き方を求めて  

厳しい環境で鍛えられる一方で、正直だんだん燃え尽きてきたところもありました。ただ、それ以上に今回の転職活動の大きな目的は「働き方の変化」でした。家族との時間をもっと取りたかったんです。そのために、在宅勤務をメインにできる環境へ移ろうと考えました。

転職活動は思った以上に時間がかかりました。十数社に応募して、書類で落ちたり、面接で噛み合わなかったり。厳しいなと感じる場面は多かったです。前回の転職はあっさり決まったので、その成功体験を引きずって「今回もなんとかなるだろう」と見積もりを誤った部分もありました(笑)。

最初に一番苦労したのは職務経歴書です。最初に出したものは正直「これはだめだな」という出来で、添削やアドバイスを受けながら何度も修正し、ようやく形になりました。例えば営業時代の経歴を一番上に書いてしまっていて、「あ、営業の人だ」と思われてその先を読んでもらえなかったのでは、と今なら思います。書き方ひとつで入り口をふさぐことになる。そこが最初の大きな壁でした。

面接では最初、自分の経験をうまく伝えられず、答えに詰まったことがありました。技術的な質問では例えば「今の案件のアーキテクチャは?」とか「最近どんな技術に注目していますか?」とか。ちゃんと準備をして臨むのを繰り返すと、だいたい同じ質問だなと思えてきたので、やっぱり場数を踏むのは大事だなと思いますね。

技術試験がある会社もありました。現職ではコードを書く機会が減って少し鈍っていたのですが、転職活動の序盤から始めた副業でコードを書く時間が増え、活動後半の技術試験では手応えを感じられるようになりました。中には副業でやっていた内容と関係の深いものが出て、「今やっていることをそのまま出せばいい」と思えるものもありました。

全体を通して、活動を進めていく中で段階的に徐々に改善できたのかなと思っています。

これから  

オファーをもらって転職が決まったのは営業DXを進めるSaaSを開発しているスタートアップです。冒頭でも触れた通り、僕自身営業の経験があるので、思い入れはあります。選考の過程で僕の営業としてのバックグラウンドが評価された実感はあんまりないです。でも少しは影響したのかな?よくわからないです。

これからのキャリアを考えると、AIの進化もあって本当に先が読みにくい時代に入ったと感じます。エンジニアがいなくなるってことはないと思うんですけど、少し不安です。例えば現職の会社では新卒のエンジニア採用が減りました。新卒レベルの仕事はAIができるので、という流れだと思います。僕自身がエンジニアに転身した時のことを振り返っても、今だったらあんな程度のスキルレベルじゃ入れてもらえないのかなとも思いますよね。この時代に自分がエンジニアとしてどこまでいけるのかは正直不透明なので、今のうちに転職できたのはよかったと思います。

数年後、自分がまだエンジニアを続けているのかどうかすらわかりません。単純に淘汰されているかもしれない。エンジニアとして生き残るべくがんばってAIを使いこなす立場でいる、組織で使われる立場ではなく自分で会社を持つなり自分で何かをやる…。いろんな方向性が考えられますけど、ホント、どうなっているんでしょうね。

最近やって本当によかったと思うのは副業です。現職とは対照的に、スタートアップらしく意思決定が速く、たくさんコードも書けて、とにかく「やってみる」という雰囲気が刺激的です。こうした新しい経験を重ねながら、自分がどこに向かうのかを少しずつ決めていきたいと思っています。

等身大で語る 
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